幸運なツアー

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某月某日

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その日、僕は渋谷AXでオリジナルラブの白熱する演奏を聴きながら、中学時代に習った一人の塾講師を思い出していた。

その男は明治大学の学生で、所謂バイトの雇われ講師。
彼は練馬区の公立中学に通う少年少女に対し、「B'zもチャゲアスも駄目。オリジナルラブを聴け!」と、突如音楽教育を始めた。

あまりにも熱心に語るので、ひとつ付き合ってみようと思った僕は、中学生の少ない小遣いながら当時最新作だった『風の歌を聴け』を買って聴いてみた。
そうしたら一気に世界が広がってしまった。
「こういうのもあるのか」

その明大生は他にも、フリッパーズギターという2人組がいた事、今は解散してそれぞれ活動しているという事、コーネリアスのほうはこ洒落たTシャツを量産してる事、小沢健二は別のラップグループと一緒に『今夜はブギーバック』というかっこいい曲をリリースした事、そのラップグループはスチャダラパーという事、それらの人達はメディアから渋谷系と呼ばれているが、オリジナルラブの田島貴男はライブのMCで否定したという事、などなど、
今思えば大学生のピンポイントな視点乍らも、実に生々しく僕の知らない世界の話をしてくれた。

僕はクラスの他の子達があまり聴いてないような音楽に共感出来たという奇妙な優越感もあって、そこからそういった音楽にのめりこんでいった。

コーネリアスが勧めてたベックやビースティボーイズ、小沢健二が勧めてたアレステッドディベロップメント、フリッパーズギターの前身バンドのバンド名の由来だというソニックユース、、、
地元光が丘のWAVEでは探すのが難しくなってきて、池袋のWAVEやタワーに行くようになった。

目の前にわかり易く並べられているものが全てじゃない、選択肢は探せばいくらでもある!という事がわかった。
そして音楽に関わらず、何かを選び取る際は「もう一方の何か」が存在するんじゃないかと疑い、調査するようになったのだ。
思春期の自己形成において、そういうきっかけはよくあるのかもしれないし、もしかしたら意外にないのかもしれない。

ともかく、僕はオリジナルラブの白熱する演奏を聴きながら、
その塾講師に感謝した。
大学生を経験した今となっては、「けっこう大人げないヤツだったんじゃないか?」とも思うけど(笑)、自分には真似できない行動であり、実際に一人の少年に影響を与えた
その少年はそれから約10年後に仲間達と音楽を楽しむ場を拵えて、更に10年近く活動を続けているのだ。

オリジナルラブ20周年ツアー最終日、『風の歌を聴け』からも数曲演奏された。そのCDを買った当時の僕は、30歳越えてもこの曲をこんなに大事に聴くとは思いもよらなかったな。

ライブのクライマックスではスチャダラパーも登場して20周年記念のライブを盛り上げた。
この組み合わせは、本人達も言ってたけど今までありそうでなかった。
驚きと安心の同居する横並びに、僕の中で思わず込み上げる熱い何か。

そしてアンコール。田島貴男はこう言った。
『ぼくたちは「好運なツアー」のまっただ中にいるのだと仮定してみる。』
続けて読み上げられた文章に僕は深く共感し、自分の"幸運"を思った。

http://diary.originallove.lolipop.jp/?eid=89

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このページは、管理者が2011年7月24日 13:26に書いたブログ記事です。

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