お寺に嫁いでしまったら(あるいは、わらびもちの秘話など)

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午後のオープンテラスで『お寺に嫁いでしまった。』を読んでいた。下敷きになったのは彼岸寺の連載コラム「お寺に嫁ぐということ」。お寺に嫁いだOLのみちこさんがその体験を綴ったものだ。「なぜ、仏様にお供えするものがパンやおかずではいけないのだろう?」という素朴な疑問から始まり、妊娠・出産を通じて生と死、その繋がりを体感し、新たな一歩を踏み出すまで、というのが大まかな紹介といえるだろうか。
もともとWebで連載されていたこともあり、ひとつのコラムは短い。2ページくらいで終わり、どこからでも簡単に読み始められる。しかし、これがどうして、なかなか読み終えることができない。お寺やお坊さん(主にKAKUさん)に向ける視点はいつも率直で正直で、どんなに力の抜けた話にも、しゅっと筋が通っている。コラムをいくつか読み終えるころには「自分にとってはどうなんだろう?」と、我が身を振りかえらざるを得ない。そんなわけで、どうしても長い時間がかかる。なんとか半分まで読み終えた時には夕方。手足はすっかり冷えたが、なかなか冷えないものを抱えて、もう半分を帰りの電車と自室で読み終えた。

書籍化にあたっては、あふれんばかりの加筆が施されてある。たとえば、お寺のお嫁さんになる前のこと。結婚式の顛末。風変わりな14代目が神輿を担ぐ彼岸寺の諸活動について。

そんな加筆の中に、神谷町オープンテラスの項も含まれている。

神谷町オープンテラスが「今ある良いものを、皆で分かち合いたい」という思いから始まったこと。
「お坊さんにしかできない料理」というコンセプトが、料理人の叔父からの指南と、ひたすら鍋をこねる努力の繰り返しにより「お坊さんの和菓子」として結晶化したこと。
慣れないメディア対応に追われ、夫婦でケンカをした日々のこと。
このブログでは書かれていないことも、知らなかったことも、たくさん詰まっている。
…正直、苦労を掛け通しであるとは思う。

そんなこんなエピソードの数々。Webでも読めないことはないのだけれど、もしもできたら手に取ってほしい。ひとつ試してみてほしいことがあるからだ。

派手な色合いとピンクの帯をめくり、表紙を取ってしまうと、裸の本は白くて落ち着いた形で、和風のたたずまいをしている。発売したばかりなのに、ずっと昔から家の中にあったような顔をしはじめる。新しいのに、当たり前のような。赤ちゃんなのに、おばあちゃんのような。みちこさんの『お寺に嫁いでしまった。』は、そんな不思議な手触りの本である。


(付記)それにしても、みちこさんとKAKUさんの夫婦が二人で並ぶ表紙を目にすると、なんだか笑ってしまう。晴れがましいような、嬉しいような、写真を撮り終わったらもしかしたら、腕やら肩やらを叩き合いながら、何か照れ隠しの軽口を叩き始めるかもしれない。
もしかしたら、二人とも何かを考えているのかもしれない。ずっと昔に見た、あなたは目をあけて考えますか?目を閉じて考えますか?という問いかけのように。ともあれ、二人の絶えざる考えが、行動が、どんな形をとっていくか、これからも楽しみでならない。

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このページは、木原祐健が2007年11月 9日 00:00に書いたブログ記事です。

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